ハーバードで教えられている日本

ショーンKさんのおかげで、お昼の芸能ニュースでも話題になった、「世界でいちばん有名な経営大学院」ハーバード・ビジネススクール。

4月2日の『世界一受けたい授業』が、「ハーバードで教えられている日本・世界最高の知性は、日本から何を学んでいるのか?」と題して、ハーバード・ビジネススクールをとりあげていました。

講師をつとめるのは、自身もコロンビア大学MBAである作家の佐藤智恵氏でした。

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ハーバードの特徴的な教育方法

ハーバード・ビジネススクールでは、主たる教育方法としてケースメソッドを採用しています。

ケースメソッドとは、実際の経営状況をまとめたケース(事例教材)を素材に、ディスカッションを通して新しい知恵を共創する教育方法。

過去70余年間にわたりハーバード・ビジネススクールが中心となって開発し、改良してきた実践的な手法で、今日では経営大学院教育の世界標準ともなっています。

ここで指摘しておかなくてはならないことは、ケース(事例教材)は必ずしも成功事例を意味しない、ということ。

叡智は教えられないから、学生個々がケースの主人公の立場に身を置き、自分だったらどうするだろう?ということをフレームワークに基づいて考えることを主眼としているのです。

関連記事;『「レディースプログラム」なる講座のエピソード』 『ケース・ディスカッションに関するノート』

ハーバードがとりあげた日本のケースとは?

番組が「ハーバードで人気の日本のケース」としてとりあげたのは、新幹線の車内清掃を手掛ける会社、テッセイでした。

ケースリーダーである担当教員は、「あなたがテッセイの役員になったらまず何をするか?」と問いかけ、ディスカッションがはじまりました。

番組では、生徒役のタレントたちに、次のようなクイズが出題されました。

ハーバードでは、わずか7分という時間で新幹線の全車両とトイレの清掃を終わらせる会社、テッセイに注目しています。
10年前、テッセイは大きな問題を抱えていました。乗客からのクレームが多く、離職率も高い、まさにトラブルだらけの会社でした。
しかし、JR東日本の要職を歴任してきた矢部さんが、役員として招かれ、「ホニャララ」をしたおかげで、わずか数年で7分間の奇跡を起こすまでに変わるのです。
一体、何をしたのでしょうか?

ハーバードの授業に「正解」はあるか

ちょっと残念だったのは、講師役の佐藤智恵さんが「正解はハーバードの授業をご覧ください」と言ったこと。

たしかに、生徒役のタレントたちに出題したテストの正解なので、間違いとは言えないのですが、視聴者に「ハーバードでは、テッセイの成功例を正解と教えている」との印象を与えたとしたら、残念なことだと思ったのです。

ハーバードが学生たちに求めているのは、テッセイの経営陣が実際にどうしたかではなく、自分だったらどうするか、ということだから。そして、学生たちが考えるべきは、テッセイが実践した以上によいアイデアであろうから。

ビジネススクールは、成功例を成功例として学ぶことを目的とした場では決してないのです。

それゆえ私は、ここに「正解」なるものを紹介する必要をあまり感じません。ご関心があればこちらをご覧ください。

参考記事 

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