新耐震基準対応でも……倒壊家屋の共通点とは?

新耐震基準対応でも起こる家屋の倒壊

熊本大分地震の発生からきょうで一ヶ月。くわしい物的被害状況が次第に明らかになってきました。

被災地で調査や復旧にあたっている専門家によれば、新耐震基準(昭和56年施行)対応の家屋が倒壊した例も少なくないようです。

きょう(H28.5.14)の日本経済新聞朝刊も、『耐震基準満たしても全壊・強い揺れ複数回 政府、断層帯調査への見出しで次のように報じています。

震度7が2度起きた熊本県益城町を日本建築学会九州支部が調査したところ、耐震基準が厳しくなった2000年以降に建ったとみられる木造住宅51棟が全壊していたことが判明。続けて起きる地震に対して建物の耐震性をどう確保するかも、新たな課題として浮上した。

現段階では必ずしもじゅうぶん精査された結論とはいえませんが、現地での印象として、仕事のよくない家(設計・施工の質の劣る家)や古い家が倒壊している例がやはり多いことや、総二階建て(注1)の居宅がそのまま横だおしになっているケースがしばしば見られることがわかってきました。

(注1)総二階建てとは、2階の面積が1階とほとんど同じ、直方体(立方体)形状の建物を指しています。

家屋の横倒しはなぜ起きるか

ここで、「総二階建てはあぶないのか!」と判断するのは早計にすぎます。総二階建ては、躯体の造りが単純なだけに、むしろ構造的に強く、耐震性に優るといえます。

ポイントは、「建物が崩れずに原型を保ったまま横だおしになっている」という点。建物そのものはしっかりしていても、(土地造成時の土砂の締め固めや地盤改良の不足による)地盤不良があると家屋が倒壊することがあるということです(図1参照)。

家屋の横倒し

耐震強度だけでは防げない地震被害

今回の地震を契機に、あらためて耐震基準の見直しが議論されつつあります。

京都大学の研究では、熊本地震のような2回の震度7の地震に建物が耐えるためには、現行の耐震基準より5割増の強度が必要になる由(H28.5.11京都新聞)。

そうだとすると、多くの建物は、新耐震基準に対してせいぜい1.2倍の設計余裕しかみていませんから、ほとんどの建物はその要件を満たさないことになると思われます。

しかしながら、上記の建物が崩れずに原型を保ったまま横だおしになる現象は、構造的な強度をあげるだけでは倒壊は防げないことを示唆しています。

土地取引にあたっては、活断層との位置関係や、造成の経緯(切り土か盛土か、土地造成に問題はなかったか)がこれまで以上に重視されるようになっていくものと考えられます(図2参照)。

(注2)切土(きりど)とは、高い地盤・斜面を切り取って低くし、平坦な地表面を作ること、盛土(もりど)とは、低い地盤や斜面に土砂を盛り上げて高くし、平坦な地表面を作ることをいいます。

切土と盛土