作文を変えるSo what?(それがどうした?)

小学一年生の作文と三年生の作文のちがい

小学一年生の作文と小学三年生の作文の差は、前者が「お父さんとお母さんと動物園に行きました」と事実しか書いていないのに対して、後者には「カンガルーの赤ちゃんが可愛くて、お母さんカンガルーもえらいと思いました」と自分の感じたことも書いてあることです。

そういう一年生の作文を三年生の作文に変える魔法の言葉があります。

それが、ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスの口癖だった「So what?」(それがどうした?)です。

「動物園に行きました」(それがどうした?)

「カンガルーの赤ちゃんがいました」(それがどうした?)

「とっても可愛いかった」(だからどうした?)

「30分も見とれてしまった」(それがどうした?)

「お母さんカンガルーがしっかり赤ちゃんを気遣っていて、えらいなと思いました」(それがどうした?)

「人間も動物を見習わなければならないところがあるなと感じました」

「なぜ?を5回繰り返せ」というのは、トヨタ生産方式の生みの親ともいわれる大野耐一氏(トヨタ自動車工業元副社長)の教えですが、So what?と問い続けることで、自分の主観的体験が持つ客観的意味あいをだんだんと深く探っていくことができます。

小学三年生と大人の作文のちがい

では、小学三年生の作文と大人の作文の違いは、どこにあるのでしょう。

いろいろな意見があるでしょうが、私は「言葉のマジック」が使えるかどうかの差が大きいと思います。

例えば、心象風景をこまごま語らなくても「路傍に小さな花が咲いていました」という最後の一行に、万感の想いを込めることができる、ということです。

作家の丸谷才一氏は、著書『日本語のために』の中で「子供に詩を書かせるな」と強く主張していました。

言葉のマジックを理解しない子供に、「ああ、詩というのは、メルマガみたいにフレーズごとに改行して、ゆわーん、なんてオノマトペを使ったり、比喩を多用したする、それらしい作文のことだな」などと思わせてしまうのは有害でしかない、ということでしょう。

私たち大人も、小学生に負けずに作文力を磨いていきたいものです。