厳しいことを言うのは何のため?

横行する「病気呼ばわり」

『他人を非難する文脈で「お前は心の病気だ」という人が、本当に心の病気に苦しんでいる人にどんな声をかけているのか、と思うと恐ろしい気がする』(木村幹・神戸大学大学院教授)

こういう「病気呼ばわり」はしばしば目にするところですが、それが誰かの悩みや痛みに寄り添うべき立場の人間(医師とかカウンセラーとかセラピストとか)の発言だとしたら、暗澹たる気持ちにならない人は稀でしょう。

話の通じない経営者をどうするのか

自分の言うことを聞かない経営者を、他所で悪しざまに言う経営コンサルタントにも、似たようなことを感じます。

もちろん私自身も、相手に心外な反応をされて心穏やかでなくなることがたまにあります。

でもそこで、「相手はなぜそんな反応をしたのだろう?」「次はなるほどと言わせて見せよう」と思うようにしています。

じつは、そういう不愉快な経験は、自分のやる気に火をつけ、力量を高めるチャンスです。ネットに相手の悪口を書き込む暇があるなら、次回相手に語りかけるべきことをノートに綴るべきです。

褒め言葉であれ、厳しい言葉であれ、相手に響く・響かない言い方(あるいは文脈)というものは確実に存在します。

とくに、相手が「いま何の話を何のためにしているのか」を理解していなかったり、見失ってしまっていたりすると、大切なところが伝わりにくくなります。

相手の傾聴力に依存するところもありますけれど、支援者が、話の構成や文脈をよくコントロールして、相手によりよく伝える責任を負っていることは間違いありません。

厳しいことを言うのは何のため?

大事なことは、目的は何かということ。

経営コンサルタントには、経営者に厳しいことを言わなければならない時と場合がたしかにあります。でもそれは、相手をやり込めるためではありません。ああそうか、今のままではダメなのか、そういう風に変わって行かなきゃいけないのだな、と気付いてもらうために言うのです(だから私は、出来そうにない会社に厳しいことは言いません)。

ダメ出しのためのダメ出しをしたり、他所で悪口を言ったりしている人たちは、その目的を見失ってしまっています。

そんな人物に悩みを相談している自分を想像できるでしょうか。そのとき、相手は心の底でどんなことを考えていると思いますか。

 

悩む女性