「これしかない」が決まるために必要なこと

複数の「シナリオ」を比較検討する意味

経営計画を策定するに当たり、複数の「戦略シナリオ」を比較検討することはきわめて有用です。

計画推進の主役である経営者がいざ実行段階に入って迷ったり、ステークホルダーから「それだけでなく、これも大事ではないか?」と意見が出たりする理由は、「代替案を比較検討し、選択する過程」がバイパスされている(あるいは比較検討はされているが見える化されていない)点にあると思うのです。

「何をやらないか」と「それだけじゃない」の葛藤

「何をやらないか」がきわめて重要な経営政策の決定局面で「それだけじゃない」というぶち壊しの意見が出ないようにするには、異なる事柄にフォーカスした「一点集中施策」、あるいはマルチフォーカスの「総花的施策」など、いくつかの代替案の比較検討結果が示されなければなりません。
経営政策の検討過程の比較的早い段階で、「これだな!」と思える方向性が見えることは少なくないでしょう。でも、この段階で他の選択肢を切り捨ててしまうのは危険です。(注)

意思決定過程の質が実践の成否を左右する

ひとつは、計画推進者の納得感、腹落ち感の問題。もうひとつは、自分の思い込みを防止するため。「いろんなアプローチがありうるが、それぞれ一長一短があり、比較検討の結果、これしかないという結論に達した」という総括があるかないかは、その後の実践の成否を大きく左右することになります。
計画策定後に「でもなあ…」と逡巡する経営者に「もう決まったことじゃないですか!」と言わなければならない事態を招いた原因は、経営者の優柔不断以外にもあることに気づくべきです。

(注)私自身は、経営の方向性をさぐる上で「SWOT分析」はあまり有効ではないと考えているのですが、多くの中小企業診断士はSWOT分析が大好き。クロスSWOTのマトリックスにあらわれる4つの窓には、それぞれ異なるシナリオが描けるはずですから、これらを比較検討してみる、というのもひとつの行き方かもしれません。

中小企業診断士の計画支援は