凡人でも手に入れられる小さな強み

秀吉子飼いの武将・加藤嘉明のエピソード

加藤嘉明(かとうよしあき)は、豊臣秀吉子飼いの武将。賤ヶ岳の七本槍のひとりに数えられるものの、同姓の加藤清正と比較すると地味な印象は否めません(今日に至るも知名度には大差がありますね)。

実際のところ、豊臣政権下でも清正や福島正則らと比べ、出世は遅れ気味でした。しかし、小田原攻めや朝鮮出兵で次第に頭角をあらわした嘉明は、関ヶ原の合戦の功により伊予松山20万石(現在の愛媛県の一部)の太守となりました。晩年には会津に移封されて43万石を領するにいたります。

その嘉明の人物を物語るエピソードがあります。

焼きもの収集が趣味であった嘉明は、南蛮渡来の名品を多く持っており、その中に「虫喰南蛮」という小皿10枚からなる自慢の逸品がありました。
ある日、近習のひとりが誤って1枚を割ってしまったと聞いた嘉明は、近習を叱るどころか、残り9枚の小皿をことごとく打ち砕き、『この9枚が残るうちは、人はそのほうの粗相を忘れぬであろう。いかな逸品でもわが四肢同然の家来には代えられぬ。焼きもの収集にうつつを抜かした予が不明であった。』と言い、以後焼きもの収集をやめたそうです。

突出したところはなくても”ちょっといいところ”を見せる

「強みを発見しろ」「強みを活かせ」「強みをアピールしろ」とはよくいわれるところです。でも、あなたのその強みはどの程度のものですか?お客さんにとって意味のあるものですか?

卓越した技能やセンス、該博な知識、豊富で次元の高い実績・経験をもつ人ならいざしらず、私のような凡人は、お客さんにとって意味のある小さな違いを積み重ねていくしかありません

先日お目にかかったベテラン税理士さん(創意豊かでアグレッシブな方でした)も、『突出したところなどなくても、”ちょっといいところ”をお客さんにたくさん投げる。僕はそれが大事だと思ってる。』とおっしゃっていました。

私も『同感です。じつは私も、”ちょっといいところ”をアピールするいくつかのアイデアを具体化しつつあるのです。そのアイデアというのは…』と応じ、しばしアイデア談義に耽りました。

凡人でも手に入れられるちいさな強みとは

心がけの違いを目に見える形であらわす。小さなことでも自分なりの工夫を施してお客さんを喜ばせる。「すべてはお客さまのために」を掲げる事業者はたくさんあれ、「こうしたらお客さんは喜んでくれるかなあ~」といつも考えている人は多くありません。

ラーメン屋さんが「九州一うまい」「大分県一安い」を達成することは難しくとも、お客さんが嬉しく思うちょっとした工夫など、いくらでも考えられると思うのです。

加藤嘉明を凡人の文脈でとりあげると愛媛県民のお叱りをうけるかもしれませんが、地味な彼も、上司や同僚、部下に”ちょっといいところ”を見せる努力を積み重ねて、ついに加藤清正の出世に追いついたのではないかと思われてなりません(ここまで書いて、なぜ自分が地味な嘉明に惹かれるか、いまやっとわかったような気がしています)。

写真は、加藤嘉明が築いた伊予松山城と松山城マスコットキャラクター「よしあきくん」(松山市ホームページより転載)。なお、松山城は「行って良かった!日本の城ランキング2014 第2位」に選定されたそうです。

yoshiaki