私とまちのポートフォリオ~マチオモイ帖

自分自身を他者に向けて表現する

最近、個人的に関心を持ったのが『ポートフォリオ』。

ポートフォリオとは、デザイナーやフォトグラファーの作品見本帳のこと(ファイナンスの世界では、投資銘柄の組合せのことをいいますね)。
転じて、自分自身を他者に向けて表現するツールを指します。

昨日、『ポートフォリオをつくろう!』(フィルムアート社)という新刊を読了したところですが、これについても項を改めてご紹介したいと思っています。

マチオモイ帖というムーブメント

今日は、「わたしのマチオモイ帖〜日本中がマチオモイ2015大分展」に行ってきました。

「my home town わたしのマチオモイ帖」は、全国のクリエイターが、それぞれ自分の思いのある「町」を冊子や映像で紹介する展覧会。2011年、瀬戸内海の小さな島の町(広島県尾道市因島重井町)を紹介する一冊(『しげい帖』)として生まれたマチオモイ帖は、その後全国的なムーブメントに発展し、これまでに650帖を越えるマチオモイ帖がつくられてきたそうです。

マチオモイ帖が表現しているもの

マチオモイ帖が表現しているのは、その街の概要でも魅力でもなく、作者と街のかかわり。そして街を捉えた自分自身。

ある作者はそれを絵本で、別の作者はタウン情報誌の形をとったり、絵日記の形式をかりて表現していました。
自らのルーツと街のかかわりが一冊の詩集の体をなしているものには心をうたれましたし、街の喧騒をそのまま持ち込んだような、雑然としたイラストとキャプションにさすがと唸らされたものもありました(編集割り付けがその街の化体のようだったのです)。

大事なことは、街の紹介ではないのだということ。マチオモイ帖を見る者は、街に思いをはせる前に、まずその街の魅力を捉えた作者に思いをはせるはずだからです。

この点、作者の街への想いが溢れすぎて、他者に伝えることに必ずしも成功していないものも見受けられました。

自己表現に没入するあまり、街とのかかわりが伝わってこない作品もありました(思うに、その作者が表現したかったのは街とのかかわりではなく、自分自身だったのでしょう)。

印象に残ったのは三重県桑名市の「くわな帖」。徹頭徹尾ハマグリだけにこだわった編集方針が気持ちよかった。「其の手は桑名の焼き蛤」とはいいますが、ホントに名物だったんですね…。

下の写真は、マチオモイ帖ムーブメントのきっかけになった作品『しげい帖』
この作者の視点は出色ですが、ここには書きません。ぜひ会場で、実際に手にとってご覧になることをお勧めします。

※「わたしのマチオモイ帖〜日本中がマチオモイ2015大分展」は、大分市中央町のFLAT(新大分ビル1F)と大分市府内町の赤レンガ館の2会場で9月15日まで開催されています。

しげい帖の写真