「不動産鑑定士」は一言でいえば…
不動産の「価格」と「適正な利用」に関するプロフェッショナルです。
対象不動産の地域の環境や諸条件を調査して「不動産の有効利用」を判定し、 「適正な地価」を判断します。この業務を「不動産鑑定評価」といいます。
鑑定評価とは耳慣れない言葉かもしれませんが、わかりやすくいえば、鑑定とは「目利き」であり、評価とは「値踏み」です(これは、私の師匠である長嶋敏行先生の受け売りですが)。この不動産はどのようなものであるか、どのように利用するのがよいかを「目利き」し、それがいくらの金銭的価値があるかを「値踏み」するわけです。
また、これは私の見解ですが、「値段のないものに値段をつけ、その理由を説明する人」という一面も持ち合わせていると思います。
ゴルフ場、水族館、テーマパーク、パチンコホール、スーパーマーケット、ホテルや旅館。これら特殊な事業用不動産は、流通も限られ、一般的な相場形成がされているとはいえないケースが大半です。堤外地(河川敷)や樹木の生育に適さない岩山、住宅地の地下を走る導水路など、普通は取引の対象とみなされない不動産においては、なおさらという気がします。
「不動産鑑定士」と社会とのかかわり
不動産鑑定士はさまざまな分野で活躍しています。
国や都道府県が土地の適正な価格を一般に公表するための地価公示や地価調査の制度をはじめとして、 公共用地の取得、相続税標準地の評価、固定資産税標準宅地の評価、裁判上の評価、会社の合併時の資産評価ならびに現物出資の評価、さらには、不動産に関するコンサルティング等、広く公共団体や民間の求めに応じて業務を行っています。
なお、国土交通省ウェブサイトのPR動画『不動産鑑定士という選択』(約7分)では、不動産鑑定士のお仕事を動画で紹介しています。不動産鑑定士の業務内容についてのアニメーションによる紹介や、現役の不動産鑑定士が、不動産鑑定士を目指したきっかけや仕事のやりがいを語るコーナーなど、不動産鑑定士のことをご存知ない方にも大変分かりやすい内容となっています。
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_005333.html
試験の動向その他
不動産鑑定士となるためには、国家試験に合格しなければなりません。
受験資格は問われませんが、短答式試験及び論文式試験の2段階選抜が行われます。短答式試験に合格した場合、合格発表日から2年以内に実施される短答式試験が免除されます。
毎年5月中旬に行われる短答式試験の試験科目は、不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論の2科目。
8月上旬ごろ行われる論文式試験は民法、会計学、経済学、不動産の鑑定評価に関する理論、不動産の鑑定評価に関する理論(演習科目)の5科目からなっています。
令和3年の合格者数は、短答式試験621名、論文式試験135名でした。